第3号 1994年11月15日
今日、国際的交流があらゆる 方面で盛んに展開される時、こ の会が設立されて曹洞禅の国際 交流を活発に進める母体の機能 を担っていただくことを、有難 く思います。
宗門の海外開教が邦人の移民 と共に始まり、先人の努力によっ て今日の発展を見たわけですが、 更に世代の交替にともなって現 地の状況も大きく変りつつある と聞きます。一方この二・三十 年の間に欧米各地に於て坐禅を 指導された老師方の影響と、亦 現地の人々の間にも東洋的なも の、就中曹洞禅に対する興味と 理解が深まり、積極的に禅に取 り組む様子が感じられます。
先般、北米の好人庵、南米の 佛心寺とそれぞれ落慶法要に随 喜する機会を与えられ、多くの 見聞と現地の空気を感得するこ とが出来ました。
一つには今日までの日系人社
会に於ける広統的な信仰心の強
さと、寺院の担う太きな役割と
もいうべきものが充分に必要な
こと。
二つには現地の人々の中にも
東洋的なものへの関心と云うよ
り、もっと本格的な禅への求道
心が形成されつつあること。
三つには日本の禅寺、本山等
への親密な交流を求めているこ
と、などが伺われました。
それらをふまえて思うことは、 この会が宗務庁の行政とは別に、 補完的、民間的自由な立場で巾 広く、開教師の人材育成や生活 の安定、人材、教材の交流と援 助等をはじめ、海外の人々の要 望にも応えうる態勢を充実して、 正法の宣揚にご活躍いただきた いと思います。勿論それには宗 門内外のご理解と財的協力が不 可欠ではありますが、更に小国、 韓国、東南アジア各仏教界との 交流にも力を入れていただき、 世界の平和に向ってご活躍いた だきたく、ご発展を祈念いたす ものであります。